赤と桃
恋や愛を色で表現するなら、月並みだけどやっぱり赤や桃色。
情熱の赤。
それに次ぐ、どきどきや胸がきゅんとしちゃうときによく使われるピンク。
月並みだけど定石だと思う。
とはいっても、私自身そんな恋愛からは基本的に遠ざかっている内の一人だった。
別に好きな人ができないわけでも、それに憧れないでもない。
だけど、この人!って思う人が居なかった。
ただそれだけに尽きる。
恋愛できなかったんじゃなくて、好きと思える相手に巡り合ってないだけなのだ。
OLとして働いてもうすぐ三十路が見えてきた頃、私は母に勧められて一つのサイトに辿りついた。
そこではいろいろな人が活動していて、ここでなら私も好きな人が見つかるかもしれないと頻繁にアクセスするようになった。
そして出会った。
Kさんという人に。
30半ばだというKさんも最近始めたらしく、なんとなくやり取りをしているうちに仲良くなった。
淡々としたやり取りの中、少しでもKさんに私を知ってもらいたい。
私もKさんをもっと知りたいと願うまでになった。
まだ彼氏彼女というくすぐったい関係まではいかなくても、一言でいえばそう。
私は恋に落ちた、というべきなのだろう。
心の中に溢れる、赤と桃の情景。
返信が届かないと、そわそわ携帯を気にしてしまう。
今まで蚊帳の外にいた私だったが、今なら連絡の一通に一喜一憂している女性陣たちの心の機微がわかろうというものだ。